M&A仲介会社とプラットフォームはどっちが得?手数料やメリットを徹底比較【認定支援機関が解説】

M&A基礎知識

「会社の売却(または買収)を考えているけれど、M&A仲介会社とマッチングサイト(プラットフォーム)、結局どちらを使うべきなの?」

M&Aを検討し始めた経営者の方から、最もよく聞かれるのがこの質問です。

結論から言うと、コストを抑えてスピーディーに進めたいなら「プラットフォーム」、手数料が高くても手厚いフルサポートが必要なら「仲介会社」という使い分けが正解です。 しかし、選び方を間違えると「数百万円単位で損をする」「いつまで経っても成約しない」という事態になりかねません。

この記事では、認定経営革新等支援機関(国が認定する公的な支援機関)の視点から、両者の違いを手数料・スピード・成約率などで徹底比較し、あなたの事業規模に合った賢い選び方を解説します。


M&A仲介会社とプラットフォームの決定的な違い

まずは、それぞれの仕組みの根本的な違いを理解しておきましょう。

1. M&A仲介会社(アドバイザリー)

専任の担当者(アドバイザー)が付き、相手先の探索から交渉、契約書の作成、クロージングまでを「代行・サポート」してくれるサービスです。 不動産で言えば、街の不動産屋さんに仲介をお願いするイメージです。

  • 代表例: 日本M&Aセンター、ストライク、M&Aキャピタルパートナーズ、中小規模の仲介会社など

2. M&Aプラットフォーム(マッチングサイト)

インターネット上の「掲示板」のようなもので、売り手と買い手が「直接やり取り」を行うサービスです。システム上で案件を検索し、チャット機能を使って交渉を進めます。 不動産で言えば、SUUMOやアットホームのような検索サイト(ただし、交渉は直接行う)のイメージです。

  • 代表例: BATONZ(バトンズ)、TRANBI(トランビ)、Speed M&A、ラッコM&Aなど

【徹底比較】仲介会社 vs プラットフォーム

実際に利用する上で気になるポイントを表にまとめました。

比較項目M&AプラットフォームM&A仲介会社
手数料(コスト)圧倒的に安い
(成約額の3%〜10%程度)
高い
(成約額の10%〜20% / 最低報酬あり)
最低手数料なし 〜 数十万円200万円 〜 2,000万円
対象規模個人事業 〜 売上数億円売上数億円 〜 大企業
スピード早い(最短1週間〜3ヶ月)普通(半年〜1年)
サポート基本的になし(※OPあり)手厚い(フルサポート)
交渉スタイル当事者同士で直接チャットアドバイザー経由
案件数非常に多い(数千件)会員限定・非公開が中心

① コスト(手数料)の比較

最も大きな違いはコストです。 仲介会社の場合、着手金や中間金がかかる場合があるほか、成功報酬に「最低手数料(ミニマムチャージ)」が設定されていることがほとんどです。

  • 仲介会社の場合: 譲渡額が500万円でも、最低手数料が500万円なら、手取りはほぼゼロになります。
  • プラットフォームの場合: 譲渡額500万円なら、手数料は15万〜50万円程度(3〜10%)で済みます。

中小規模(譲渡額1億円以下)のM&Aであれば、プラットフォームの方が圧倒的に金銭的メリットが大きいです。

② 交渉スピードの比較

プラットフォームは、気になった相手にその場でメッセージを送れるため、話が早いです。 一方、仲介会社は間に人が入るため、連絡の往復に時間がかかりがちですが、その分「感情的な対立」を防ぎ、冷静に交渉を進められるメリットがあります。


あなたはどっち?タイプ別おすすめ診断

では、具体的にどちらを選べばよいのか、ケース別のおすすめを紹介します。

「M&Aプラットフォーム」がおすすめな人

以下に当てはまる方は、まずはプラットフォーム(BATONZやTRANBIなど)への登録をおすすめします。

  • 譲渡希望額が1億円以下(特に3,000万円以下)である
  • できるだけ手数料を払わず、手元に現金を残したい
  • 自分のビジネスの魅力は、自分で相手に説明できる
  • Webでのメッセージのやり取りに慣れている

【ポイント】 最近のプラットフォームは、我々のような認定支援機関や専門家のサポートをオプションで付けられる機能も充実しています。「基本は自分でやりつつ、契約書作成やバリュエーション(株価算定)だけプロに頼む」といった賢い使い方ができるのが最大の魅力です。

「M&A仲介会社」がおすすめな人

以下に当てはまる方は、高い手数料を払ってでも仲介会社に依頼する価値があります。

  • 譲渡希望額が数億円以上ある
  • 複雑なスキーム(株主が多数いる、法的整理が必要など)が絡む
  • 忙しすぎて、相手との交渉に時間を割けない
  • Web操作が苦手で、全て対面で相談したい

【ポイント】 規模が大きい案件は、法務・税務のリスクも大きくなるため、プロのアドバイザリーを入れるのが安全策です。


結論:まずはプラットフォームに登録して「相場」を知ろう

「自分の会社(または買いたい事業)が、仲介会社に頼むほどの規模かわからない」という方も多いと思います。

そこでおすすめなのが、「まずはM&Aプラットフォームに無料登録して、どんな案件があるか(いくらで売れそうか)を見てみる」ことです。

多くのプラットフォームは、登録料・月額費は無料です(成約時のみ費用発生)。 まずは実際にサイトを覗いてみて、自分と同じような業種がいくらで取引されているかを確認することからM&Aの第一歩が始まります。

おすすめのM&Aプラットフォーム

  • BATONZ(バトンズ): 成約数No.1。士業のサポートも受けやすく、初心者でも安心感が強い。
  • TRANBI(トランビ): ユーザー数が多く、マッチングのスピードが早いのが特徴。
  • ラッコM&A: WebサイトやECサイトの売買ならここ一択。

まずはこれらに登録し、情報収集を始めてみましょう。


まとめ

  • 小規模〜中規模案件(1億円以下)なら、コストの安い「プラットフォーム」が有利。
  • 大規模案件や、丸投げしたい場合は「仲介会社」が安心。
  • 迷ったら、まずは無料登録できるプラットフォームで市場調査からスタートしよう。

M&Aは「相手」あってのものです。選択肢を狭めず、まずは多くの人の目に触れる場所(プラットフォーム)に出ていくことが、成功への近道です。


次回の予告

第8回は、M&Aプラットフォームを使う際に必須となる「魅力的なノンネームシート(案件概要書)の書き方」について解説します。買い手から「会いたい!」と思われる文章には、明確なコツがあります。お楽しみに!

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