M&Aの手数料・費用相場はいくら?「レーマン方式」や「完全成功報酬」の仕組みを徹底解説
「M&Aを依頼したいけど、手数料が高そうで怖い」 「何千万円も請求されるのではないか?」
M&Aの手数料体系は専門用語が多く、一般の経営者には非常に分かりにくくなっています。
しかし、費用の仕組みを知らないまま契約してしまうと、「まだ会社が売れてもいないのに、数百万円の手数料だけ取られた」という最悪のケースに陥ることもあります。
この記事では、M&Aにかかる費用の内訳と、業界標準の計算ルールである【レーマン方式】、そして最近主流になりつつある【完全成功報酬】について、噛み砕いて解説します。

1. M&A仲介会社に支払う費用の内訳
一般的に、M&A仲介会社へ支払う手数料は、以下の項目の組み合わせで決まります。会社によって「ある費用」と「ない費用」があるので、契約前によく確認しましょう。
①相談料
M&Aが可能かどうかを相談するための費用です。
- 相場: 無料〜1万円/時間
- ポイント: 最近は多くの会社が【初回相談無料】としています。
②着手金(ちゃくしゅきん)
仲介会社と契約した時点で支払う費用です。結果に関わらず返金されません。
- 相場: 50万円〜200万円
- ポイント: 最近は、売り手のリスクをなくすために【着手金無料】とする会社が増えています。
③中間金(ちゅうかんきん)
買い手候補と「基本合意」に至った段階で支払う費用です。
- 相場: 成功報酬の10%〜20%程度、または定額100万円など
- ポイント: ここで支払うと、万が一その後の交渉で破談になってもお金は戻ってきません。
④月額報酬(リテイナーフィー)
コンサルティング料として毎月支払う費用です。
- 相場: 3万円〜50万円/月
- ポイント: 中小規模のM&A仲介では【無料】のケースが多いです。
⑤成功報酬(せいこうほうしゅう)
M&Aが最終的に成約(クロージング)した時に支払う費用です。費用の大半をこれが占めます。
- 相場: 売買金額の1%〜5%(レーマン方式で計算)
- ポイント: ほとんどの会社で「最低報酬額(ミニマムフィー)」が設定されています。
2. 費用の計算式「レーマン方式」とは?
成功報酬の計算には、世界的な標準ルールである【レーマン方式】が使われます。 これは、「取引金額が大きくなればなるほど、手数料率(%)が低くなる」という仕組みです。
一般的な料率は以下の通りです。
| 取引金額(移動総資産) | 手数料率 |
| 5億円以下の部分 | 5% |
| 5億円超〜10億円以下の部分 | 4% |
| 10億円超〜50億円以下の部分 | 3% |
| 50億円超〜100億円以下の部分 | 2% |
| 100億円超の部分 | 1% |
中小企業のM&Aは取引額が5億円以下になることが多いため、【取引金額 × 5%】と考えておけば概ね間違いありません。
計算例:3億円で会社が売れた場合
- 3億円 × 5% = 1,500万円
これが仲介会社に支払う成功報酬となります。
3. 注意!「最低報酬額(ミニマムフィー)」の落とし穴
「うちは小さな会社だから、売値は3,000万円くらい。手数料は5%で150万円かな?」
そう思うかもしれませんが、ここに落とし穴があります。 多くの仲介会社では、【最低報酬額(ミニマムフィー)】を設定しています。
- 大手仲介会社の相場: 2,000万円前後
- 中堅・ネット系仲介の相場: 200万円〜500万円前後
たとえ売買金額が小さくても、最低報酬額が2,000万円と決まっていれば、2,000万円を支払わなければなりません。 小規模なM&A(スモールM&A)を検討している場合は、この最低報酬額が低い会社を選ぶことが重要です。
4. 売り手におすすめなのは「完全成功報酬型」
ここまでの説明で「着手金」や「中間金」のリスクが気になった方もいるでしょう。 「もし売れなかったら、着手金の100万円は丸損になるの?」
その不安を解消するために、最近増えているのが【完全成功報酬型】の仲介会社です。
- 着手金:0円
- 中間金:0円
- 月額報酬:0円
- 成功報酬:成約時のみ支払い
このタイプなら、万が一M&Aが成立しなくても、売り手企業が支払うお金は1円もありません。リスクゼロでM&Aに挑戦できるため、初めてM&Aを検討する中小企業には最もおすすめできる料金体系です。
5. まとめ:契約前に「総額」のシミュレーションを
M&Aの手数料は会社によって大きく異なります。
- A社(大手): 着手金あり、最低報酬2,000万円
- B社(新興): 完全成功報酬、最低報酬500万円
同じ会社を売るとしても、依頼先によって手元に残るお金が数千万円変わることもあります。 「ブランド力で選ぶ」のも一つの手ですが、コストを抑えたい場合は、複数の会社で【手数料の見積もり】を取ることを強くお勧めします。


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