【最新版】M&Aの流れと期間|検討から成約までの7ステップを分かりやすく解説

M&A基礎知識

【最新版】M&Aの流れと期間|検討から成約までの7ステップを分かりやすく解説

「M&Aで会社を譲渡したいけれど、何から手をつければいいのか分からない」 「完了するまでに、どれくらいの期間がかかるの?」

M&Aは、多くの経営者にとって初めての経験です。全体像が見えないまま進めるのは不安が大きいものです。

結論から言うと、中小企業のM&Aは、検討を開始してから成約するまで、一般的に【半年〜1年程度】の期間がかかります。

決して短い期間ではありませんが、全体の流れ(ロードマップ)を理解しておけば、不必要な不安を感じることなく、着実に準備を進めることができます。

この記事では、M&Aの全工程を7つのステップに分解し、分かりやすく解説します。


M&A完了までの全体像(7ステップ)

まずは、M&Aの全体的な流れを把握しましょう。大きく分けて、前半の「準備フェーズ」と、後半の「交渉フェーズ」があります。

  1. 【準備】検討・情報収集
  2. 【準備】専門家の選定・契約
  3. 【準備】自社価値の算定・資料作成
  4. 【交渉】買い手候補の探索(マッチング)
  5. 【交渉】トップ面談・基本合意
  6. 【交渉】デューデリジェンス(買収監査)
  7. 【契約】最終契約・クロージング(完了)

それでは、各ステップを詳しく見ていきましょう。


ステップ1:検討・情報収集(期間目安:1ヶ月〜)

まずは社内で、「本当にM&Aをすべきか?」を検討する段階です。

  • なぜM&Aをするのか?(後継者不在、事業の選択と集中、創業者利益など)
  • いつまでに完了したいか?
  • 譲れない条件は何か?(従業員の雇用維持、社名の継続など)

これら【M&Aの目的】を明確にしておかないと、後の交渉で軸がブレてしまいます。この段階で、M&Aに関する書籍を読んだり、セミナーに参加したりして情報収集を始める経営者が多いです。


ステップ2:専門家の選定・契約(期間目安:2週間〜1ヶ月)

M&Aを自力で行うのは現実的ではありません。法務、税務、会計の複雑な知識が必要になるため、信頼できるパートナー(M&A仲介会社やアドバイザー)を選定します。

  • 仲介会社:売り手と買い手の間に入り、中立的な立場で交渉をまとめる。
  • FA(ファイナンシャル・アドバイザー):売り手(または買い手)の味方として、依頼者の利益最大化を目指す。

中小企業のM&Aでは、マッチング能力が高い【仲介会社】に依頼するのが一般的です。複数の会社に無料相談を行い、担当者との相性や手数料体系(着手金無料かどうかなど)を比較して決めましょう。


ステップ3:自社価値の算定・資料作成(期間目安:1ヶ月〜)

専門家と契約(秘密保持契約・アドバイザリー契約)を結んだら、本格的な準備に入ります。

  • 企業価値算定(バリュエーション):直近の決算書などを基に、「自社がいくらで売れそうか」の目安となる金額を算出してもらいます。
  • 提案資料の作成:買い手企業向けに、自社の魅力や事業内容をまとめた「匿名概要書(ノンネームシート)」や「企業概要書(IM)」を作成します。

この段階で、決算書には載っていない自社の強み(技術力、顧客基盤、人材など)を専門家にしっかり伝えることが、良い買い手と巡り合うコツです。


ステップ4:買い手候補の探索(マッチング)(期間目安:1ヶ月〜3ヶ月)

準備した資料を基に、専門家が買い手候補を探します。

最初は、社名を伏せた「匿名概要書」を複数の買い手候補に提示します。興味を持った企業が現れたら、秘密保持契約を結んだ上で、より詳細な「企業概要書」を開示し、検討を進めてもらいます。

人気の業種や業績が良い会社であれば、この段階で【数十社】から手が挙がることも珍しくありません。


ステップ5:トップ面談・基本合意(期間目安:1ヶ月〜2ヶ月)

買い手候補を数社に絞り込んだら、いよいよ売り手と買い手の経営者同士が直接会う【トップ面談】を行います。

ここでは、条件面の交渉よりも、「経営理念」や「社風」がお互いに合うか、信頼できる人物かといった【相性】を確認することが主目的です。

お互いに「この相手となら進めても良い」と判断したら、売買金額やスケジュールなどの大枠の条件をまとめた【基本合意書】を締結します。これは「仮予約」のようなもので、法的拘束力はないことが一般的ですが、これ以降、売り手は他の買い手候補との交渉を一時停止します(独占交渉権の付与)。


ステップ6:デューデリジェンス(買収監査)(期間目安:1ヶ月〜2ヶ月)

基本合意後、買い手企業が専門家(公認会計士や弁護士など)を派遣し、売り手企業の財務・税務・法務などを詳細に調査します。これを【デューデリジェンス(DD)】と呼びます。

売り手にとっては大変な作業ですが、ここで簿外債務や重大なリスクが見つかると、売買価格の減額や、最悪の場合は破談になることもあります。嘘偽りなく資料を開示し、誠実に対応することが重要です。


ステップ7:最終契約・クロージング(完了)(期間目安:1ヶ月)

デューデリジェンスの結果、大きな問題がなければ、最終的な売買条件を確定させ、【最終譲渡契約書】を締結します。

その後、契約内容に基づいて株式の引き渡しと対価(売却代金)の決済を行います。これを【クロージング】と呼びます。売り手経営者の口座に多額の現金が振り込まれ、M&Aは完了となります。

完了後は、スムーズな事業引き継ぎのために、一定期間(半年〜数年)顧問などの形で会社に残るケースも多いです。


M&Aの期間を短縮するためのポイント

M&Aは長丁場ですが、準備次第で期間を短縮できます。

  1. 必要資料を事前に整理しておく:決算書(3期分)、定款、登記簿謄本、従業員名簿、契約書関係などをすぐに提出できるようにしておきましょう。
  2. 希望条件の優先順位を決めておく:「金額」が最優先なのか、「従業員の雇用維持」が最優先なのか。絶対に譲れない条件を明確にしておくと、交渉がスムーズに進みます。
  3. M&Aの専門家に早めに相談する:自分たちだけで悩んでいても時間は過ぎていきます。まずはプロに相談し、自社の客観的な評価を知ることが、最短ルートへの第一歩です。

まとめ

M&Aは「検討」から「成約」まで、半年から1年かかる大きなプロジェクトです。

  1. 検討・情報収集
  2. 専門家の選定
  3. 自社価値算定・資料準備
  4. 買い手探索(マッチング)
  5. トップ面談・基本合意
  6. デューデリジェンス(買収監査)
  7. 最終契約・クロージング

道のりは長いですが、信頼できる専門家というパートナーがいれば、決して難しいことではありません。 まずは、自社の価値がどれくらいかを知るための【無料相談】から始めてみてはいかがでしょうか。

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