【図解】M&Aとは?初心者でも5分でわかる意味と仕組み
「M&A(エムアンドエー)って、大企業がやる乗っ取りのことでしょう?」 「うちのような中小企業には関係ない話だ」
もしあなたがそう思っているなら、それは少し前の常識かもしれません。 今、後継者不足などを背景に、中小企業の「友好的なM&A」が急増しています。
この記事では、M&Aの基本的な意味から、なぜ今多くの中小企業がM&Aを選んでいるのか、その仕組みとメリットを経営者視点でわかりやすく解説します。
1. M&A(エムアンドエー)とは?簡単に言うと「会社の結婚」
M&Aとは、「Mergers(合併)」と「Acquisitions(買収)」の略です。 直訳すると「合併と買収」ですが、中小企業の実務においては「会社や事業を売買すること」と捉えて問題ありません。
よく「乗っ取り(ハゲタカ)」のような怖いイメージを持たれがちですが、現在の中小企業M&Aの9割以上は、売り手と買い手の双方が合意の上で行う「友好的M&A」です。
- 売り手(譲渡側): 後継者不在の解決や、創業者が利益を得て引退する(ハッピーリタイア)。
- 買い手(譲渡側): すでに完成された事業を引き継ぐことで、ゼロから作る時間を買う(時間を買う)。
このように、お互いのニーズを満たすため、M&Aはしばしば「企業の結婚」に例えられます。

2. なぜ今、中小企業のM&Aが増えているのか?
近年、身近な会社がM&Aで譲渡されたという話を聞いたことはありませんか? これには明確な理由があります。
①深刻な後継者不足(2025年問題)
日本の中小企業の多くが、経営者の高齢化と後継者不在に悩んでいます。「黒字なのに廃業する」というケースも珍しくありません。従業員の雇用を守るため、第三者へ会社を譲るM&Aが選択されています。
②創業者利益の確保(イグジット)
会社を清算(廃業)すると、在庫処分や退職金などで手元にお金が残らないことが多いです。しかし、M&Aで株式を売却すれば、創業者は「創業者利益(売却益)」というまとまった現金を手にして引退できます。
③成長戦略としての活用
買い手企業にとっては、人材不足や事業拡大のスピードアップのために、すでに基盤がある会社を買収することが合理的になっています。
3. 中小企業M&Aの主な2つの手法
M&Aには様々な手法がありますが、中小企業で使われるのは主に以下の2つだけ覚えておけばOKです。
①株式譲渡(かぶしきじょうと)
売り手企業の株式を、買い手企業に買い取ってもらう方法です。
- 特徴: 手続きが比較的シンプル。会社そのものがオーナーチェンジするイメージ。
- 対象: 中小企業M&Aの最も一般的な手法です。
②事業譲渡(じぎょうじょうと)
会社の中の「特定の事業(部門)」だけを切り取って売却する方法です。
- 特徴: 「飲食部門だけ売りたい」「不採算部門だけ手放したい」といった場合に有効。
- 対象: 会社を残したい場合や、一部の事業だけ引き継ぎたい場合に使われます。

4. M&Aを行うメリット・デメリット
M&Aは魔法の杖ではありません。良い点もあれば注意点もあります。
| 項目 | 売り手(譲渡側)のメリット | 買い手(譲受側)のメリット |
| メリット | ・後継者問題を解決できる ・創業者利益(現金)が得られる ・従業員の雇用を守れる ・個人保証から解放される | ・事業拡大の時間を短縮できる ・人材やノウハウを一括で確保できる ・新規エリアへ即進出できる |
| デメリット | ・希望価格で売れるとは限らない ・従業員の心情ケアが必要 ・準備に手間と時間がかかる | ・買収後に簿外債務が発覚するリスク ・社風の融合に苦労する場合がある ・期待したシナジーが出ない可能性 |
5. M&Aは「相談」から始まる
M&Aは、明日すぐにできるものではありません。一般的に、検討から成約まで半年〜1年程度の期間がかかります。
「自分の会社は売れるのだろうか?」 「いくらくらいの価値がつくのだろうか?」
そう思ったら、まずはM&Aの専門家に相談し、自社の「企業価値算定(株価算定)」をしてもらうことが第一歩です。 多くの仲介会社やマッチングサイトでは、無料相談や簡易査定を行っています。
まずは自社の価値を知ることから始めてみませんか?
まとめ
M&Aは、単なる「身売り」ではなく、会社を次世代に繋ぎ、創業者にもハッピーリタイアをもたらす前向きな戦略です。
- M&Aとは「会社の結婚(合併と買収)」
- 後継者不足の解決策として一般的になっている
- 手法は「株式譲渡」がメイン
- まずは専門家に相談して「自社の価値」を知ることが重要
次回の記事では、具体的に「M&Aにはどのようなメリット・デメリットがあるのか」をさらに深掘りして解説します。

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