「うちは売れない」は思い込み?廃業を考える前に知っておきたい、赤字・債務超過企業のM&A売却術

M&A概観

はじめに: 「廃業」には想像以上にお金と気力がかかる現実

真実1: 赤字・債務超過でも「買い手」がつく3つの理由

真実2: 廃業コスト vs M&A手数料!どちらが得かシミュレーション

実録: 「もう畳むしかない」と思っていた老舗企業が売却できた逆転シナリオ

重要: 売却を成功させるために、今すぐやるべき「磨き上げ」とは?

まとめ: 諦める前に、まずは「価値の診断」を

「後継者がいない。業績も芳しくない。自分の代で会社を畳もう(廃業しよう)と思っている」

日々、多くの中小企業経営者様からこのようなご相談をいただきます。

特に、創業から長く続いている企業ほど、「自分の責任で綺麗に終わらせたい」という責任感から、M&A(第三者承継)を検討する前に廃業を選んでしまうケースが後を絶ちません。

しかし、M&Aコンサルタント、そして自身も事業承継を経験した現役経営者としての視点から申し上げます。
「赤字だから」「債務超過だから」という理由だけで廃業を選ぶのは、非常にもったいない(損をしている)可能性があります。

今回は、多くの経営者が誤解している「中小企業M&Aの真実」と、廃業予定から一転して売却に成功するためのポイントを解説します。

1. 「廃業」には想像以上にお金と気力がかかる現実

まず、現実的なお話をしましょう。
会社を畳む(廃業する)というのは、ただ鍵を閉めれば終わりではありません。実は、会社を続けること以上に、辞めることにはエネルギーとキャッシュが必要になります。

  • 在庫・設備の処分費:商品や機械を廃棄または売却する手間とコスト。
  • 原状回復費:テナントや工場を借りている場合、スケルトンに戻す費用。
  • 従業員への対応:解雇予告手当や退職金の支払い。
  • 借入金の返済:これが最大の問題です。法人としての借入が残っている場合、連帯保証人である経営者個人が返済を迫られます。

「会社を畳んだら、手元に借金だけが残った」という悲劇は珍しくありません。
だからこそ、「借金ごと引き継いでもらう(株式譲渡)」というM&Aの選択肢を、廃業を決める前に検討する必要があるのです。

2. 赤字・債務超過でも「買い手」がつく3つの理由

「うちは赤字だし、借金もある。こんな会社を欲しがる人なんていないだろう」

そう思われる経営者様が多いですが、買い手企業(譲受企業)は、決算書の数字「だけ」を見ているわけではありません。以下のような要素があれば、たとえ赤字でも高く評価される可能性があります。

①「時間」を買いたい

新規事業を立ち上げるには、許認可の取得、人材採用、顧客開拓など、膨大な時間がかかります。
御社が長年培ってきた「許認可」「ベテラン従業員」「既存の顧客リスト」は、買い手にとってはお金を払ってでも手に入れたい「時間の短縮」なのです。

②「拠点」が欲しい

特定の地域に強みを持つ企業や、立地の良い店舗・工場を持っている場合、エリア拡大を狙う大手・中堅企業にとって魅力的なターゲットになります。

③「技術・ノウハウ」が欲しい

決算書には載らない「職人の技術」や「特殊な加工ノウハウ」、「地域での信用(のれん)」こそが、M&Aにおける最大の価値になります。

3. 廃業コスト vs M&A手数料!どちらが得か?

ここで簡単な比較をしてみましょう。

【A:廃業する場合】
廃業費用(数百万~数千万)がかかり、さらに借入金の個人返済が残ります。
結果:資産がマイナスになるリスクが高い。

【B:M&Aで譲渡する場合】
M&Aの手数料はかかりますが、成功報酬型であれば初期費用は抑えられます。
さらに、借入金の連帯保証から外れることができ(※条件によります)、場合によっては「創業者利益(退職金や株式譲渡益)」が手元に残ります。
結果:マイナスがゼロになる、あるいはプラスになる可能性がある。

「廃業コスト」と「M&Aの成功報酬」。天秤にかけたとき、まずはM&Aを模索する方が、経済合理性が高いケースがほとんどです。

4. 実録:廃業予定から売却できた逆転シナリオ

実際に私が支援した事例をご紹介します。

【ケース:地方の製造業(年商1億円・赤字)】
高齢の社長は「設備も古いし、借金も5,000万ある。従業員には申し訳ないが廃業するしかない」と諦めていました。

しかし、当社で分析したところ、この会社が持つ「特定の部品加工技術」は、ニッチながらも大手メーカーにとって不可欠なものであることが判明しました。

そこで、同業種で規模拡大を目指す企業へアプローチしたところ、「その技術を持つ職人がそのまま来てくれるなら」と、借入金の引き継ぎを含めた譲渡が成立。
社長は借金の個人保証から解放され、従業員も雇用が継続されました。

これは奇跡ではありません。御社にも、必ず「光る価値」があるはずです。

5. 重要:売却を成功させるために、今すぐやるべきこと

もし少しでも「売却」の可能性を探りたいなら、今すぐやるべきことは「財務の見える化(磨き上げ)」です。

買い手企業が最も嫌がるのは「赤字」そのものではなく、「実態が見えないこと」です。
「なぜ赤字なのか?」「役員報酬や交際費を除けば、本業は儲かっているのか?(実態収益力)」を明確にし、説明できるように整理しておく必要があります。

ここは、私たちのような「財務に強い専門家」の腕の見せ所でもあります。

6. まとめ:諦める前に、まずは「価値の診断」を

「廃業」は、全ての選択肢を検討し尽くした後の「最後の手段」です。
長年事業を続けてこられた御社には、決算書の数字だけでは測れない価値が必ずあります。

「うちは売れない」と決めつける前に、一度専門家にご相談ください。
赤字・債務超過からの出口戦略、そしてハッピーリタイアに向けたシナリオを、一緒に描きましょう。

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