働き方改革(いわゆる2024年問題)の本格適用から、まもなく2年が経過しようとしています。 当初は「なんとかなる」と考えていた中小建設・運送会社でも、ここにきて限界を迎え、「仕事はあるのに人がいないから黒字廃業する」ケースが急増しています。
2026年の今、業界は完全に「採用力のある大手」と「人を採れない中小」に二極化しました。 しかし、そんな厳しい状況下でも、M&Aによって大手グループ入りし、従業員の雇用を守りつつ、創業者利益を手にした経営者もいます。
この記事では、中小企業診断士の視点から、2026年の倒産トレンドと、今このタイミングで「廃業」ではなく「M&A」を検討すべき理由を解説します。
2026年、なぜ「あそこの工務店」は潰れたのか?
これまでの倒産は「仕事がない(売上不振)」が主な原因でしたが、2025年以降のトレンドは明らかに「人手不足倒産」へとシフトしています。
給与高騰についていけない中小企業
大手ゼネコンやハウスメーカーは、人材確保のために初任給や施工単価を大幅に引き上げました。一方で、多重下請け構造の中にいる中小企業は、単価交渉がうまくいかず、賃上げ原資を十分に確保できていません。
その結果、若手や中堅社員が「より良い給与・休日」を求めて流出し、現場が回らなくなって廃業に至るケースが増えています。
社長の高齢化と「諦め」
70代を超えた経営者が、「新しい勤怠管理システムやインボイス、法令対応についていけない」と気力を失うケースも目立ちます。後継者である息子や娘も「今の厳しい業界環境で継ぎたくない」と拒否し、結果として黒字のまま廃業を選択せざるを得なくなっています。
M&A市場での評価も「二極化」が進んでいる
以前は「とりあえず建設業の許可があれば売れる」という売り手市場でしたが、2026年の今は買い手の目もシビアになっています。
高く売れる会社の特徴
- 若手が定着している: 20代〜30代の技術者が数名いるだけで、評価額は数千万円単位で跳ね上がります。
- 特定領域の強み: 電気、管、内装など、専門性が高い技術や商圏を持っている。
- 直請け比率: 下請け100%ではなく、独自の顧客基盤を持っている。
買い手がつきにくい会社の特徴
- 従業員が高齢者ばかり(60代以上のみで構成されている)。
- 社会保険未加入や残業代未払いなど、コンプライアンス違反(簿外債務のリスク)がある。
- 社長一人の「個人商店」状態で、組織として機能していない。
しかし、もし「買い手がつきにくい」条件に当てはまっていたとしても、諦めるのはまだ早いです。「近隣の同業者」や「エリア拡大を狙う隣県の企業」であれば、商圏や顧客リストそのものに価値を感じて買収してくれる可能性が十分にあります。
廃業して資産を失う前に。まずは「価値」の確認を
「人がいないから廃業しよう」と決断する前に、一度立ち止まって計算してみてください。 廃業を選べば、以下のようなコストがかかります。
- 従業員の解雇手当・退職金
- 事務所や資材置き場の原状回復費用
- 在庫や重機の処分損
- 借入金の残債一括返済
これらを差し引くと、手元に現金が残るどころか、個人の貯金を持ち出さなければならない(個人の債務が残る)ことも珍しくありません。
一方でM&A(第三者承継)が成立すれば、大手グループの採用力や福利厚生を活用して従業員の雇用を守ることができます。さらに、経営者には創業者利益(退職金や株式譲渡益)が残ります。
まとめ:市場価値があるうちに動くことが「責任」
人手不足は今後さらに加速します。「売り時」を逃して廃業コストを払うことになる前に、まずは自社の市場価値を無料査定で確認してみましょう。
「うちはボロボロだから無理だ」と自己判断せず、専門家の目を入れることが、2026年を生き抜く賢い選択です。




コメント